子どもの頃から歯科医院に通うことが「一生自分の歯で食べる」ことにつながる理由
瑞穂区の歯ならび・こどものお口ノート / 46
乳歯から永久歯へ、保護者のケアから本人のケアへ。成長に合わせた受診と習慣をつないでいきます。
当院の院長は宮澤平(歯学博士・日本矯正歯科学会 認定医)です。院長の経歴・資格を見る
01子どもの頃から歯科医院に通うと、一生自分の歯を残せますか?
一生歯が残ると保証することはできません。ただし、成長に合わせた予防や必要な治療、セルフケアを身につけることは、将来のお口の健康を支える土台になります。
「一生自分の歯で食べる」という目標は、通院回数だけで達成できるものではありません。毎日の清掃、食習慣、体の健康、歯科疾患への対応など、多くの条件が関わります。子どもの時期には、保護者が支えるケアから、自分で考えて行うケアへと少しずつ移っていきます。
歯科医院は、むし歯ができたときにだけ利用する場所ではなく、その移り変わりを相談する場所にもなります。日本小児歯科学会は、子どもの成長に合わせてお口を継続的に管理することの重要性を示しています。[1]今のお口を守りながら、次の時期に必要な準備を考えましょう。
この配信シリーズでは、乳歯のむし歯、生え替わり、歯並び、口の使い方、中高生の受診について取り上げてきました。ここでは、それぞれを一つの生活の流れとしてつなぎ、親子で続けるための考え方を整理します。
02痛くなる前の受診では、何を確認するのでしょうか?
むし歯や歯ぐきの状態に加え、歯の生え替わり、磨きにくい場所、食べ方、かみ合わせなどを確認します。症状がないときでも、家庭で迷っていることを相談できます。
たとえば、小さい子どもでは仕上げみがきの進め方、学童期では生え始めの永久歯、中高生では自分で行う清掃や飲食の習慣が話題になります。同じお子さんでも成長とともに課題が変わるため、前回の方法が今も合っているかを見直す意味があります。[2]
受診した日に必ず削る処置や画像検査を行うわけではありません。必要な確認や検査は状態によって異なります。何を調べるのか、結果をどう使うのかを聞き、家庭で行うことと医院で行うことを整理しておくと安心です。
「気になることがはっきりしない」という場合も、普段の様子を伝えて構いません。大きな問題が見つからなかった場合は、次までの注意点や受診時期を確認してください。何も治療しなかった受診にも、自分のお口を理解し、ケアを調整する役割があります。
03乳歯を守ることが、将来の歯を考える第一歩になるのはなぜですか?
乳歯は今の食事を支え、永久歯への生え替わりにも関わるからです。また、乳歯の時期に家庭で身につけたケアは、永久歯が生え始めてからも見直しながら使えます。
乳歯は「どうせ抜ける歯」ではありません。歯によって使う時期は異なり、生え替わりまでの日々を食べやすく過ごすためにも大切です。大きなむし歯で早く歯を失うと、永久歯が生える場所などを確認する必要が生じる場合があります。[3]
一方、乳歯のむし歯があれば将来必ず永久歯も悪くなる、という意味ではありません。見つかった問題に対応し、その後の予防を整えることが重要です。すでに治療した歯があっても、これからの歯を守るためにできることはあります。
保護者にとっても、乳歯の時期は予防を学ぶ機会です。年齢に合う歯みがき剤、仕上げみがき、間食のとり方などを相談し、家庭で無理なく続く方法を探します。できていない点を数えるより、次にできる行動を一つ決めることから始めてください。
04生え替わりの時期には、どんなことを引き継ぎますか?
乳歯のケアを続けながら、新しく生えた永久歯の位置と磨き方を確認します。歯が入れ替わる時期は、お口の地図が変わる時期と考えると分かりやすくなります。
乳歯が抜けた場所だけでなく、奥に新しく出てくる歯にも注意が必要です。生え始めの歯は、ほかの歯との高さの違いなどで磨きにくい場合があります。本人が今まで通り磨いているつもりでも、毛先が届いていない場所がないか、診察で確認しましょう。[4]
また、生える時期には個人差があります。友達より遅い、左右で違うと感じた場合も、すぐ異常と決める必要はありません。どの歯がどう育っているかを確認し、必要に応じて経過を見ることになります。家庭で無理に歯を揺らしたり、生える場所を押したりしないでください。
親子で引き継ぎたいのは、完璧に磨くことへのプレッシャーより、分からないときに相談する習慣です。「この奥歯はどう磨くのか」「まだ手伝ってもらう方がよいか」と本人が質問できるようになると、自分のお口への関心を育てるきっかけになります。
05歯並びを整えることも、歯を守ることにつながりますか?
かみ合わせや清掃のしやすさを考えるうえで、歯並びを評価する意味はあります。ただし、矯正をすれば必ず長く歯が残る、歯並びが整っていればむし歯にならない、とは言えません。
歯を失う原因には、むし歯や歯周病などがあります。歯並び以外にも、清掃、生活、病気の状態、必要な治療の継続が関わります。見た目だけを基準にして、歯並びのよい人は予防が不要と考えないことが大切です。[5]
子どもの矯正相談では、今のかみ合わせ、あごの成長、永久歯が生える場所、本人の困りごとなどを確認します。早く相談しても、すぐに治療を始めるとは限りません。経過を見た方がよい場合もあり、その理由と次に確認する時期を共有します。
当院の小児矯正・Ⅰ期治療では、状態に応じて治療方針を考えます。治療には痛みや違和感、清掃の負担、後戻りなどの可能性があり、装置の管理や通院も必要です。生涯の歯の健康という目標の中で、矯正が何を担うのかを具体的に相談しましょう。
06定期的な受診だけで、家庭での予防は十分になりますか?
受診だけで家庭のケアを置き換えることはできません。医院で状態を確認し、家庭で行う方法を調整するという両方の役割があります。
歯科で清掃や予防処置を受けても、その後の毎日の飲食や磨き方は続きます。フッ化物配合歯みがき剤を適切に使うこと、必要な場所を清掃すること、甘い飲食を長時間続けないことなど、日常の積み重ねを考えます。フッ化物の使用方法は年齢に合わせて確認してください。[6]
「通っているのにむし歯ができた」という場合は、受診が無意味だったと結論づけず、どの場所に何が起きたかを確認します。歯の形や状態、磨き残し、生活の変化などから、方法や受診間隔を見直すことになります。予防に取り組んでも、病気の可能性を完全にゼロにはできません。
家庭での方法が難しいときは、そのまま伝えて構いません。道具を増やして続かなくなるより、使いやすい方法を一緒に選ぶ方が現実的です。家族で担当を交代する場合も、特に確認する歯や使う製品を共有すると、ケアがばらばらになりにくくなります。
07歯科が苦手な子どもには、どう通院を続けてもらいますか?
怖い理由や苦手な刺激を確認し、年齢や理解に合う説明を医院と相談します。受診を罰として伝えず、お口を楽にするための機会として共有しましょう。
音、におい、口を触られること、何をするか分からないことなど、苦手の理由はさまざまです。「怖くないから」と気持ちを否定するより、「何が心配か教えて」と聞くと具体的な準備につながります。以前の受診でつらかったことがあれば、予約時にも伝えてください。
「絶対に何もしない」「必ず痛くない」と約束してしまうと、必要な診療があった場合に説明が食い違います。予定が分からないときは、「まず見てもらい、必要なことを説明してもらおう」と伝える方法があります。処置の進め方は歯の状態とお子さんの様子に合わせて相談します。
慣れるための時間を取れる場合もありますが、痛みや感染などで早い対応が必要な場合もあります。怖さへの配慮と必要な診療の時期を一緒に考えましょう。受診できたかだけで評価せず、話せた、口を見せられたなど、その子なりの進歩を大切にしてください。
08成長したら、保護者のサポートはどのように減らしますか?
年齢だけで急に任せきりにせず、本人ができることを確認しながら役割を移します。磨き方だけでなく、気になる症状を伝えることや、受診の予定を考えることも練習になります。
| 成長の段階 | 家庭で支えること | 本人と共有すること |
|---|---|---|
| 乳幼児期 | 清掃、飲食、受診の準備 | お口を見せることへの安心感 |
| 生え替わり期 | 磨きにくい歯の確認 | 自分のお口の変化と質問 |
| 中高生 | 予定や道具の相談 | セルフケアと受診の目的 |
| 成人期への移行 | 必要な診療情報の整理 | 自分で相談・受診する習慣 |
表は一律の発達基準ではありません。手先の使いやすさ、感覚、生活環境などに合わせて支援を続けます。周囲の同年齢の子と比較して、できないことを責める必要はありません。
中高生には、忙しい時期に何が難しいかを聞き、実行できる方法を本人と選びます。成人期に移る際は、必要に応じて治療歴や矯正・保定の情報などを整理し、その後も適切な歯科診療につながるよう相談します。小児期の通院が終わることを、お口の管理の終了にしないことが大切です。
09通院が途切れたり、むし歯ができたりしたら、もう遅いですか?
遅すぎると決めつける必要はありません。今の状態を確認し、必要な治療と予防を再開することが次の一歩になります。
家庭の事情、仕事、学校、体調などで予定が空くことはあります。過去に行けなかった理由を説明できないと受診できないわけではありません。「しばらく間が空いたので確認したい」と伝えてください。痛みや腫れなどがある場合は、その症状を先に知らせます。
再開時には、今いちばん困っていることを一つ決めると話しやすくなります。治療が必要な歯がある場合も、全部を一度に終えると決めず、優先順位と通院の見通しを確認します。家庭の時間や費用の事情も、無理のない計画を考えるための大切な情報です。
受診間隔は、お口の状態や予防の必要性に合わせて相談します。友達と同じ頻度でないことを心配するより、何のための次回なのかを理解しておくと続けやすくなります。予約を変更する場合も、そのまま途切れさせず、次の候補日を医院と相談しましょう。
以前の記録が手元にない場合も、分かる範囲を伝えれば構いません。受診の準備を完璧にしようとして、相談そのものを先延ばしにしないでください。
10今日から、家族で何を一つ始めればよいですか?
寝る前のケア、間食の区切り、次の受診相談など、今の生活で実行できる行動を一つ選んでください。大きな目標を、今日できる具体的な行動に分けることが出発点です。
たとえば「奥歯の磨き方を次回聞く」「普段の歯みがき剤を確認する」「健診票を見て受診日を相談する」といった内容で構いません。決めたことが続かないときは、時間や方法が合わなかった可能性もあります。本人の意欲だけの問題にせず、家族や医院と調整しましょう。
8020運動は、80歳になっても20本以上の自分の歯を保つことを目指す取り組みです。[7]子どもに遠い将来の数字だけを求めるのではなく、「今、食べやすい」「困ったときに相談できる」という身近な経験を重ねていくことが大切です。
瑞穂みやざわ矯正歯科こども歯科の小児歯科では、成長に応じたお口の相談ができます。むし歯治療やフッ素、歯並びの相談を、その時々の必要に合わせて考えましょう。ご家庭のケアと歯科での確認をつなぎ、お子さんが自分のお口を大切にできるよう支えていきます。
当院の院長について
瑞穂みやざわ矯正歯科こども歯科 院長
宮澤 平
歯学博士
日本矯正歯科学会 認定医
経歴
- 愛知学院大学歯学部 卒業
- 昭和医科大学 歯科矯正学講座 入局
- 昭和医科大学 大学院 歯学研究科 歯学博士号 取得
- 昭和医科大学 歯科矯正学講座 勤務・助教(歯科)
- 日本矯正歯科学会 認定医 取得
- 昭和医科大学 歯科矯正学講座 非常勤
所属学会
日本矯正歯科学会・日本小児歯科学会・日本顎変形症学会・日本口蓋裂学会・日本舌側矯正歯科学会
院長情報は医院公式サイトの掲載情報に基づきます。
参考文献・根拠資料
学会・公的機関の資料や学術論文を参照しています。本文の番号から対応する資料を確認できます。