子どもの「おくちポカン」が気になる方へ|瑞穂区で相談するMFTとお口の育ち
こどものお口の健康ノート / 04
「お口を閉じて」の前に、開いている理由を知る。
テレビを見ているとき、遊びに集中しているとき、ふと見ると子どもの口が開いている。「お口を閉じて」と伝えても、しばらくするとまた開いてしまう。そんな「おくちポカン」が気になっていませんか。
おくちポカンは、病名ではなく、保護者の方が気づくお口の様子を表す言葉です。癖だけでなく、鼻で息をしにくいこと、唇や舌の使い方、歯並びなどが関係していないか確認する必要があります。この記事では瑞穂区・桜山周辺の保護者の方に向けて、相談前の観察ポイントとMFTの役割を説明します。
01おくちポカンが気になるときは、何を見て相談しますか?
まずは「いつも開いている」とひとまとめにせず、どの場面で気づくのかを整理してみましょう。起きているときだけなのか、眠っているときにも見られるのか。風邪や鼻づまりのある日に目立つのか。食べているときや話しているときにも困りごとがあるのか。日常の場面を伝えることが相談の出発点になります。
一枚の写真に口が開いていたからといって、すぐに異常と判断する必要はありません。反対に、何度も気になっているのに「そのうち治る癖」と決めつけてしまうのも避けたいところです。気づいた時期と、生活の中で困ることをメモして、歯科医院で相談してください。
「口が開いている」と「口で呼吸している」は同じ?
見た目で唇が離れていることと、呼吸の状態を評価することは別です。口が開いた写真だけで、鼻で呼吸できていないと判定することはできません。日本歯科医学会の資料でも、口唇の状態、呼吸、歯列や食べる機能などを組み合わせて確認する考え方が示されています。[1]
ご家庭では無理に口を閉じさせて試すより、「鼻づまりを訴えている」「寝ているときに気になる音がする」「食事中に息がしづらそう」といった様子を伝えましょう。観察する目的は診断をつけることではなく、診察で確認してほしいことを整理することです。
02鼻づまりやいびきがあるときは、口を閉じる練習を先に始めますか?
鼻で息をしにくい状態があるのに、唇を閉じる練習だけを続けても原因への対応にならない場合があります。日本歯科医学会は、口呼吸が多い場合に鼻疾患を疑い、小児科や耳鼻科への紹介を検討する考え方を示しています。[1] 当院で鼻の病気そのものを治療するという意味ではありません。
日中の鼻づまりに加えて、睡眠中のいびきや呼吸が止まるように見える様子が気になる場合も、医療機関への相談が必要です。米国小児歯科学会は、小児の閉塞性睡眠時無呼吸について、リスクの確認と必要に応じた医科への紹介を重視しています。[2] 「歯科の装置やMFTで必ず改善する」と考えないようにしましょう。
受診先に伝えるためのメモ
- 起きているときと眠っているとき、どちらで気になるか。
- 鼻づまりが一時的か、繰り返しているか。
- いびきや息苦しそうな様子に気づいたことがあるか。
- 小児科・耳鼻科で治療中のことや、使用している薬があるか。
すべての項目を調べてからでなければ相談できないわけではありません。分かることだけを伝え、不明な点は診察で確認してください。呼吸が苦しそうなど急な異常がある場合は、通常の歯科相談の予約を待つ状況かどうかも含め、速やかに医療機関へ相談しましょう。
03おくちポカンの相談では、お口のどんな形や動きを確認しますか?
お口の相談では、見た目の歯並びだけでなく、食べ方や飲み込み方、話すときの動きなどを確認します。日本歯科医学会は、口腔機能発達不全症を、食べる・話すなどの機能の発達や獲得に専門的な関与が必要な状態として整理しています。[1]
ただし、「おくちポカン=口腔機能発達不全症」ではありません。歯科で使う評価項目には決められた考え方があり、一つの様子だけで診断するものではありません。この記事のチェック項目も、当てはまる数を数えて病気を判断するテストではなく、相談用のメモです。
年齢だけでなく、その子の育ち方を確認する
子どものお口の機能は成長の途中にあります。同じ年齢でも、これまでの発達や食べ方の経験は異なります。ほかの子との比較で「遅れている」と決めず、今の状態とこれまでの変化を確認することが大切です。[1]
相談では、どんなことができているかも伝えてください。「いつも食べこぼす」だけでなく、「小さく切ったものなら食べやすい」「疲れている時間帯に気になる」など、場面の違いがあるかを話すと、家庭での様子を具体的に共有できます。
04MFTとは、何を目的に行う練習ですか?
MFTは口腔筋機能療法と呼ばれ、舌や唇などの使い方に関わる練習を行うものです。日本歯科医学会の資料では、舌の動きなどの評価を踏まえた対応としてMFTが示されています。[1] 大切なのは、だれでも同じ練習を繰り返すことではなく、その子に必要な目標を設定することです。
たとえば説明を受けたら、「どの動きを練習するのか」「今は何が難しいのか」「できたかどうかをどう確認するのか」を聞いてください。練習の名前だけ覚えても、力の入れ方や動かし方が違うと、説明された内容を家庭で再現できないことがあります。
診療室で確認したい四つのこと
- 目的:今回の練習で、どの動きや使い方を改善したいのか。
- 方法:本人と保護者が、実際にやり方を確認できたか。
- 量:一回の時間・回数・頻度はどの程度か。
- 再評価:いつ、何を見て、続け方を見直すのか。
「たくさん練習すれば早くよくなる」と考えて自己判断で回数を増やすより、教わった内容を正しく行えるかを確認しましょう。うまくできないときは、お子さんの努力不足と決めず、方法が分かるか、苦痛がないか、生活の中で続けられるかを相談してください。
05MFTだけで歯並びも治りますか?小児矯正とは何が違いますか?
MFTはお口の使い方を支える練習で、矯正装置は歯並びや噛み合わせに対して使う治療手段です。両方が必要な場合も、一方だけを検討する場合もあります。お口が開いていることだけから、矯正装置の使用やMFTの必要性を決めることはできません。
前歯が噛み合わない開咬や、上の前歯が前方に出ている上顎前突など、気になる歯並びがあれば併せて相談しましょう。日本矯正歯科学会はこうした噛み合わせの状態を説明しています。[3] 見た目の状態が似ていても、原因や治療の考え方が同じとは限りません。
研究の結果は、何をどこまで示している?
2014年に公表された、矯正治療へのMFT併用を検討した系統的レビューでは、採用された研究が少なく、研究の偏りのリスクも高いと報告されました。検索対象は2011年までであり、これだけで現在のMFT全体を評価するものではありませんが、歯並びの改善効果を一律に保証できる根拠ではありません。[4]
したがって、「おくちポカンの練習をすれば必ず歯並びがよくなる」「MFTをすれば矯正が不要になる」といった説明には慎重な確認が必要です。相談では、お口の機能についての目標と、歯並びについての目標を分けて聞いてください。変化を何で確認するかが分かると、経過の説明も理解しやすくなります。
06おくちポカンが気になるとき、家庭では何ができますか?
受診前に、おくちポカンを完全になくそうと練習を始める必要はありません。まずは気づいた場面と、本人の困りごとを整理しましょう。「何をしているとき?」「鼻は苦しくない?」と短く聞く程度にし、何度も口元を指摘して会話の中心にしすぎないことも大切です。
写真や動画が相談の補助になることもありますが、撮影のために口を開けさせたり、何度も同じ動作をさせたりする必要はありません。普段の様子を伝えるために使えるか、医院に確認してください。記録は評価を競うためではなく、言葉では伝えにくい場面を共有するためのものです。
練習を始めた後の続け方
説明を受けたら、家庭で行う時間を決め、必要なものを準備しておくと取り組むきっかけになります。ただし、眠いときや疲れているときに無理をさせると、本人も保護者も負担を感じやすくなります。回数を守れない日が続く場合は、実際の生活を伝えて調整を相談しましょう。
「できた」「できなかった」だけでなく、「動かし方が分からなかった」「途中で疲れた」「この時間なら取り組めた」と書いておくと、次の診察で相談する内容が具体的になります。記録は簡単で十分です。毎日長文を書いて保護者の負担を増やす必要はありません。
避けたい自己流の対応
鼻で息をしづらい理由が分からないまま口をふさいだり、口の中に自己流の器具を入れたりすることは避けてください。市販品や動画の練習が、本人の状態に合うとは限りません。口や顎に痛みが出る、息苦しい、むせるなどがあれば、無理に続けず相談してください。
お口の見た目を変えることだけが目的になると、何のために練習するかが分かりにくくなります。本人が困っている食べ方などの課題と、診察で確認された目標を共有して進めましょう。顔つきや歯並びが必ず変わるという期待を前提にしないことが大切です。
07おくちポカンの相談から経過確認までは、どう進みますか?
最初の相談では、今の様子、いつから気になったか、鼻や睡眠のこと、食べ方などを伝えます。そのうえで、何を確認し、どのような対応を優先するかを説明してもらいます。医科での確認が必要な場合、歯科での練習を始める順序についても相談してください。
MFTを行う場合も、初回の説明だけで終わらず、やり方が合っているか、困りごとが変化したかを確認することが重要です。「何週間で必ず終わる」と一律に決めず、次の評価時期と、その時点で確認する内容を聞いておきましょう。
費用と通院について聞いておくこと
診察・検査・指導の費用や、必要な場合の器具代、矯正治療の費用がどのように分かれるかを確認します。おくちポカンという言葉だけで、保険適用の可否や総額を判断することはできません。診断と実施内容に応じた説明を受けてください。
- 何を評価する診察・検査なのか。
- 家庭で行う内容と、通院して確認する内容は何か。
- 次の受診はいつで、何を持参すればよいか。
- 費用に何が含まれ、別にかかるものはあるか。
- 小児矯正も検討する場合、目的と費用を分けて説明してもらえるか。
08よくある質問
Q. 何歳から相談できますか?
気になる様子があれば、年齢だけで受診を先延ばしにせず相談してください。評価の考え方や、理解して取り組める練習は発達段階によって異なります。[1] 「相談できる時期」と「特定の練習を始める時期」は分けて考えます。
Q. 親が声をかければ閉じるので、放っておいてもよいですか?
声をかけた瞬間に閉じられることだけでは、普段の呼吸や使い方を判断できません。繰り返し気になる、食事や睡眠の様子にも心配がある場合は、その場面を伝えて相談しましょう。
Q. MFTを嫌がるときは、どうしたらよいですか?
やり方が分からない、痛い、疲れる、時間帯が合わないなど、理由を分けて相談してください。子どもの発達や不安に応じた説明・意思疎通は、小児歯科の学会資料でも重視されています。[5] できないことを叱るより、どこで困っているかを共有しましょう。
Q. 鼻の治療中でも歯科に相談できますか?
相談できます。受診中の医療機関、説明された内容、使用している薬などを伝えてください。鼻の治療とお口の評価について、どのように進めるかを相談します。歯科の練習を理由に、医科の治療を自己判断で中断しないでください。
09瑞穂区でおくちポカンやMFTを相談できますか?
瑞穂みやざわ矯正歯科こども歯科では、小児歯科の一般治療、小児矯正に加えて、口腔機能管理・MFTを扱います。鼻の病気や睡眠呼吸障害そのものの治療を当院の診療として案内するものではありません。必要な評価や相談先を含めて、お口の状態を確認します。
「お口を閉じてと何度も言ってしまう」「食べ方も少し気になる」という日常の気づきから相談して構いません。名古屋市瑞穂区・桜山周辺で相談先を探している方は、小児歯科の診療案内と受付の最新情報をご確認ください。この記事は一般的な情報であり、MFTや矯正の必要性は個別の診察・評価に基づいて判断します。
当院の診療案内
診療・受付の最新情報は医院公式サイトをご確認ください。
DOCTOR PROFILE
当院の院長について
瑞穂みやざわ矯正歯科こども歯科
院長 宮澤 平
歯学博士 / 日本矯正歯科学会 認定医
矯正歯科を専門に学び、歯並びに加えて、むし歯予防・口腔機能・成長発育を含むお口全体の健康を大切にしています。小児歯科・小児矯正・成人矯正を通じて、成長段階に合わせた診療を目指しています。
経歴
- 愛知学院大学歯学部 卒業
- 昭和医科大学 歯科矯正学講座 入局
- 昭和医科大学 大学院 歯学研究科 歯学博士号 取得
- 昭和医科大学 歯科矯正学講座 勤務・助教(歯科)
- 日本矯正歯科学会 認定医 取得
- 昭和医科大学 歯科矯正学講座 非常勤
所属学会
日本矯正歯科学会/日本小児歯科学会/日本顎変形症学会/日本口蓋裂学会/日本舌側矯正歯科学会
プロフィールは当院公式サイトの医師紹介に基づき掲載しています(2026年9月14日確認)。大学名は公式サイトの表記に準じています。
参考文献・根拠資料
学会・学術団体の資料と論文を参照しています。本文の番号から対応する資料を確認できます。資料確認日:2026年9月14日。
- 日本歯科医学会「口腔機能発達不全症に関する基本的な考え方」令和6年3月.
- AAPD. Policy on Obstructive Sleep Apnea.
- 日本矯正歯科学会「矯正歯科治療について」
- Homem MA, et al. Effectiveness of orofacial myofunctional therapy in orthodontic patients: a systematic review. Dental Press J Orthod. 2014;19(4):94–99. DOI:10.1590/2176-9451.19.4.094-099.oar. 2011年までの検索に基づくレビュー。
- AAPD. Behavior Guidance for the Pediatric Dental Patient. 2024年改訂.