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2026/09/30

歯並びがいい人は歯が残りやすい?「8020」と歯並びの意外な関係

瑞穂区の歯ならび・こどものお口ノート / 42

歯並びと歯の寿命は、どう関わるのでしょうか。8020の研究から分かることと、毎日の予防を整理します。

当院の院長は宮澤平(歯学博士・日本矯正歯科学会 認定医)です。院長の経歴・資格を見る

01歯並びがよければ、80歳まで歯を残せるのでしょうか?

歯並びやかみ合わせは、磨きやすさや噛む機能に関わりますが、歯が残るかどうかをそれだけで決めることはできません。むし歯・歯周病の予防、生活習慣、必要な治療や管理も大切です。

「矯正をすれば必ず8020を達成する」「歯並びが悪い人は将来歯を失う」という意味ではありません。歯の健康について、見た目の並びと、お口が実際にどのように働き、どのように守られているかを分けて考えることが重要です。

お子さんの保護者にとって80歳は遠い話に感じるかもしれません。しかし、歯を磨く方法を身につけ、困ったときに相談し、必要な受診を続ける習慣は、子どもの時期から育てられます。歯並びの確認も、その中の一つとして位置づけることができます。

この記事では「8020」という目標を手がかりに、研究から分かることと、まだ断定できないことを整理します。矯正治療を急いで決めるためではなく、長くお口を使うための考え方を知る機会にしてください。

02「8020」とは、どのような目標ですか?

80歳になっても自分の歯を20本以上保つことを目指す運動です。歯の本数だけを競うのではなく、お口から食事を楽しめる生活を支えることが背景にあります。

日本歯科医師会は、歯を保つこととともに、生涯にわたって食事を楽しみ、お口の健康を保つ取り組みを進めています。20本という数字は分かりやすい目標ですが、同じ本数でも、噛める場所や痛みの有無、清掃のしやすさは人によって異なります。[1]

すでに歯を失った人が、健康な生活を諦めなければならないという運動でもありません。適切な治療やケアで、お口の機能を支える方法があります。この記事ではお子さんの将来を考える入り口として紹介していますが、歯の本数で人を評価する考え方にはしないことが大切です。

ご家庭では「将来20本残せるか」を子どもに問いかけるより、「今の歯で痛くなく食べられるか」「新しい歯をどう磨くか」といった身近な目標に置き換えると、行動につなげやすくなります。

038020を達成した人の研究から、何が分かりますか?

歯を多く保つことに加えて、かみ合わせや清掃のしやすさ、お口の機能にも目を向ける必要があると考えられます。ただし、達成者の調査だけで、矯正治療の効果を証明することはできません。

2007年の研究では、8020達成者36人と、問題のない総義歯を装着した35人を比較し、噛む力や食べる機能、生活の質などを調べています。8020達成者にも食べ物が挟まるなどの問題があり、本数だけでなく、かみ合わせと清掃しやすい状態に目を向ける必要性が示されました。[2]

この研究は「子どもの頃に矯正を受けた人と受けなかった人を80歳まで追跡した研究」ではありません。対象人数や調べた集団にも限りがあります。そのため、結果をもとに「矯正すれば何本多く残る」と数字を出すことはできません。

研究を読む際は、誰を対象に、いつ、何を比較したのかを確認します。良いかみ合わせと歯の健康が同時にみられても、一方がもう一方を必ず起こしたとは限りません。歯科受診の習慣や生活環境など、別の要因も考える必要があります。

04歯並びと、歯を失う原因はどのようにつながりますか?

歯が重なる場所などは清掃しにくいことがあり、ケアの方法を調整する必要があります。ただし、歯並びそのものと、むし歯や歯周病という病気を同一視しないことが大切です。

8020推進財団は、歯を失う主な原因としてむし歯と歯周病を挙げています。[3]歯の表面の汚れを落とし、歯ぐきの状態を確認し、必要な治療を受けることは、歯がきれいに並んでいる人にも必要です。

反対に、歯が重なっている人でも、適切な清掃や定期的な確認によって守れる部分があります。「磨きにくいからどうせむし歯になる」と諦めるのではなく、どこに汚れが残るかを歯科で確認し、歯ブラシや歯間清掃用具の使い方を教わりましょう。

かみ合わせに気になるところがある場合も、写真の見た目だけでは判断できません。噛むと痛い、特定の場所に食べ物が挟まる、噛む位置がずれるなど、実際の困りごとを伝えると診察に役立ちます。

05子どもの歯並びは、見た目だけで相談を決めてよいですか?

見た目が気になることも相談のきっかけになりますが、診察では生え替わり、噛む機能、清掃のしやすさなども確認します。整って見えるかどうかだけで治療の必要性を判断しません。

保護者が気にしている部分と、お子さん本人が困っている部分が違うこともあります。写真では前歯の並びが目立っても、本人は奥歯に食べ物が挟まることを気にしているかもしれません。相談では両方を伝えることが大切です。

また、歯が生え替わる途中には一時的な隙間や凹凸がみられる場合があります。一つの時点だけで将来の歯並びを決めつけることはできません。今は見守る時期なのか、詳しく検査する時期なのかを確認しましょう。

小児矯正・Ⅰ期治療の相談は、装置をすぐ始めることを意味しません。気になった時点で状態を知り、必要な場合に適切な時期を考えるための機会として利用できます。

06矯正治療をすれば、むし歯や歯周病の予防は不要になりますか?

不要にはなりません。矯正中も終了後も清掃と健康管理が必要であり、治療には負担やリスクもあります。矯正だけで歯の寿命を保証することはできません。

日本矯正歯科学会は、矯正治療の目的とともに、むし歯・歯周病、歯根や歯ぐきの変化、後戻りなどの注意点を説明しています。[4]装置が付くことで磨きにくい場所が増える場合には、治療中の清掃方法を練習することが重要です。

取り外す装置でも、装着時間、清掃、保管などの管理が必要です。生活に合うか、本人が取り組めるかを含めて考えます。「装置が目立たない」「外せる」という特徴だけで、ケアの負担がなくなるわけではありません。

治療を検討する場合は、期待する変化、治療しない場合の見通し、期間、費用、リスクを確認してください。当院の矯正治療のリスクと料金案内も参考になります。予防目的という言葉だけで、全員に同じ治療を勧めるものではありません。

07「歯がきれいに並んでいる」と「よく噛める」は同じですか?

完全に同じではありません。歯の並びに加えて、上下の歯がどう当たるか、痛みなく食べられるか、お口を動かす機能などを確認する必要があります。

前歯の見た目が整っていても、奥歯の噛み合わせや食べ方に困りごとがある場合があります。逆に少し歯が重なっていても、日常で大きな困りごとがないこともあります。外見の印象だけで、健康か不健康かを二つに分けることはできません。

歯科で確認したいのは、本人が日常生活で何に困っているかです。硬いものが噛めない、片側でばかり噛む、食べるときに痛いなどの情報は、見た目の写真には写りません。家庭で無理に硬いものを噛ませて機能を試す必要はありません。

小さなお子さんには、食べ方や飲み込み方が発達していく過程もあります。食事時間だけで判断せず、食べ物の大きさや本人の様子などを含めて相談しましょう。必要な確認は、年齢と状態に応じて異なります。

088020を目指すために、子どもの頃から何を続けますか?

毎日の清掃、年齢に合うフッ化物の活用、飲食習慣の見直し、必要な歯科受診を続けます。歯並びの相談は、それらと並行して考える取り組みです。

子どもの頃の習慣が、そのまま一生変わらないわけではありません。進学や部活動、仕事など生活が変わるたびに、ケアを調整する必要があります。大切なのは、一度教わった方法を守り続けることだけでなく、困ったときに見直せることです。

子どもの時期にできること 将来につながる視点
磨き残しやすい場所を知る 自分のお口に合わせてケアする
生え始めの永久歯を確認する 変化に気づいて相談する
飲食の時間を整える 生活に合う予防を選ぶ
痛くなくても必要な受診を続ける 困る前に状態を確認する

一つずつできることを増やし、年齢に合わせて本人へ役割を渡していきます。保護者が急に手を離すのではなく、本人がどのくらいできるかを一緒に確認すると進めやすくなります。

09歯並びが気になる子に、どのように声をかければよいですか?

「悪い歯並びだから将来歯がなくなる」と怖がらせず、今困っていることを聞くことから始めます。見た目の評価ではなく、食べやすさや磨きやすさを話題にしましょう。

8020という目標は、子どもに将来への恐怖を与えるためのものではありません。「奥歯を磨くのは難しくない?」「噛みにくい食べ物はある?」など、答えやすい具体的な質問が相談の入口になります。本人が外見を気にしている場合は、その気持ちも否定しないでください。

治療の相談をする際も、説明を聞くことと治療を決めることを分けて伝えられます。「今日は歯の状態と、できることを聞きに行こう」と共有しておくと、本人が置き去りになりにくくなります。年齢に応じて、医院にも本人への説明を相談しましょう。

保護者の希望だけでなく、本人の理解や生活の予定を含めて治療を考えることが、長い管理を続けるうえでも大切です。矯正を始める場合は、装置を外した後の保定についても確認してください。

10瑞穂区で、歯並びと将来のお口の健康を相談できますか?

はい。小児歯科の予防と、必要に応じた矯正相談をつなげて考えることができます。まず今のお口の状態と困りごとを確認し、個別の方針を相談しましょう。

当院では、小児歯科と矯正歯科を扱います。お子さんでは生え替わりや成長を確認し、成人矯正ではインビザライン、表側・裏側ブラケットなどの選択肢を、適応に応じて検討します。成人の一般歯科診療を幅広く提供するという案内ではなく、必要な管理はかかりつけ歯科との連携も含めて考えます。

小児歯科、矯正歯科、成人のマウスピース矯正、ワイヤー矯正の案内をご覧ください。受診では、治療の必要性だけでなく、家庭で磨く場所や次の確認時期も聞いておくと役立ちます。

相談するときには、歯並びが良いか悪いかという二択ではなく、具体的に困っていることを伝えましょう。たとえば、同じ場所に物が詰まる、毛先が入りにくい、噛むときに気になる場所がある、といった情報です。写真で歯がそろって見えることと、本人が無理なく使えることは別の評価になります。

矯正治療を選ぶ場合も、終了した後の清掃と保定を含めて考えます。歯を動かす期間だけ頑張ればよいという理解では、長く管理する見通しを立てにくくなります。どのような状態を目標にし、その後に何を続けるかまで確認してください。

将来の歯の本数を子どもの優劣と結びつける必要もありません。今ある歯とお口の機能を大切にするために、どの支援が必要かを考えることが出発点です。家庭での手入れに困る事情がある場合は、その事情も含めて相談しましょう。

歯並びは、長く歯を使うために確認したい要素の一つです。8020と歯並びの関係を「矯正すれば必ず達成できる」という約束にせず、噛む機能、清掃、必要な受診を積み重ねるきっかけとして活用しましょう。

当院の院長について

瑞穂みやざわ矯正歯科こども歯科 院長 宮澤平

瑞穂みやざわ矯正歯科こども歯科 院長

宮澤 平

歯学博士
日本矯正歯科学会 認定医

経歴

  • 愛知学院大学歯学部 卒業
  • 昭和医科大学 歯科矯正学講座 入局
  • 昭和医科大学 大学院 歯学研究科 歯学博士号 取得
  • 昭和医科大学 歯科矯正学講座 勤務・助教(歯科)
  • 日本矯正歯科学会 認定医 取得
  • 昭和医科大学 歯科矯正学講座 非常勤

所属学会

日本矯正歯科学会・日本小児歯科学会・日本顎変形症学会・日本口蓋裂学会・日本舌側矯正歯科学会

院長情報は医院公式サイトの掲載情報に基づきます。

参考文献・根拠資料

学会・公的機関の資料や学術論文を参照しています。本文の番号から対応する資料を確認できます。

  1. 日本歯科医師会:8020運動とは
  2. 8020達成者の優位性と問題点に関する調査研究(老年歯科医学、2007年)
  3. 8020推進財団:永久歯の抜歯原因調査
  4. 日本矯正歯科学会:矯正歯科治療について

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